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2005.08.15 紙面より

 

ワイドショー化している世界陸上のテレビ中継

『まもなく』というのは、どれくらいの時間を指すのだろうか。『間』がないのだから常識的に考えて5分か、せいぜい10分。「まもなく、まいります」といわれ、待ち合わせた相手が30分も現れなかったら、しびれを切らして帰ってしまうだろう。13日夜、TBSテレビで放送した陸上世界選手権男子マラソンの「まもなく」の、けた外れの長さには呆れた。

午後7時に放送が始まってから、画面すみにずっと『まもなくスタート』の字幕が入り、出場選手紹介や故郷の様子、さらに実家からの中継などがにぎやかに、延々と続いた。その間、「何時スタート」とは一切いわない。新聞で午後8時20分スタートと知っている人でも、何かの事情で時間が変わったのか、といぶかったのではないか。

レースは2時間少しなのに、あたかもすぐにも始まりそうな「まもなく」で、なんと1時間20分も引っ張るのは、視聴者をまどわす手法という以外ない。催促しても「いまやってます」「いま出ます」と、さんざん待たされた揚げ句、伸びきった出前のソバを食べさせられるのと同じだ。

それでなくとも、この世界選手権中継は、なぜか毎回、陸上の大家として登場する俳優織田裕二のご高説を、だらだらと拝聴しなくてはならない。視聴率を上げるために手の込んだ演出で盛り上げるのはわかるが、あまりにもワイドショー化しすぎると、うんざりする。

14日夜の女子マラソンも同じ時間帯で放送していた。スポーツ中継はチャンネルを合わせて、それこそ間もないタイミングで始まるところに、臨場感や緊張感が味わえる。もっと冷静にスポーツを見つめてもいいのではないか。

(サンケイスポーツ 今村忠)